キャリアコンサルタント養成講習に教育訓練給付金を使うと、いくら戻る?ハローワークでの手続きの順番

この記事のまとめ

  • 専門実践教育訓練の指定講座なら、支払った教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が受講中6か月ごとに支給され、資格取得と就職で70%(年間上限56万円)、賃金が5%以上上がると80%(年間上限64万円)になる
  • 受講開始日に雇用保険の加入期間が3年以上必要(初めて教育訓練給付を受けるなら2年以上)で、離職している場合は離職日の翌日から受講開始日まで1年以内
  • 受講前に、訓練前キャリアコンサルティングとジョブ・カードの交付を受け、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認をする
  • 経費を1年の間に払うとして40万円・60万円・80万円で試算すると、80%まで給付を受けた場合の自己負担は8万円・12万円・16万円。80万円を超える分は年間上限のため給付が増えない
  • 追加の給付は、原則として受講開始日に予定されていた最初の試験で資格を取る必要があり、資格の取得日は名簿の登録日になる

キャリアコンサルタントの養成講習が、厚生労働大臣の指定する専門実践教育訓練の講座であれば、受講料などの教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が受講中に戻ります。資格を取って雇用保険の被保険者として働くと70%(年間上限56万円)、働いたあとの賃金が受講前より5%以上上がると80%(年間上限64万円)まで増えます。ただし、養成講習がすべて対象とは限らず、講座ごとの指定の有無と、受講開始日の2週間前までの手続きが分かれ目になります。この記事では、厚生労働省とハローワークの公式資料で確かめた給付率・上限・条件と、手続きの順番を整理します。

養成講習が給付の対象かどうかを先に確かめる

教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定した講座を受講・修了したときに出ます(専門実践教育訓練は受講中にも支給されます)。対象は、専門実践教育訓練・特定一般教育訓練・一般教育訓練の3種類です。厚生労働省の「専門実践教育訓練指定状況」(令和8年10月1日時点)には、目標資格がキャリアコンサルタントの専門実践教育訓練の指定講座が22講座と載っています。

養成講習のうち、どの講座が指定を受けているかは、このサイトでは個別に確かめていません。指定の有無と指定期間は、厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システムで調べ、受講開始日がその講座の指定期間内かどうかを、ハローワークと受講予定の施設で確かめてください。検索システムの注意書きにも、同じ確認をするよう書かれています。

給付の種類と、戻る割合・上限

厚生労働省とハローワークインターネットサービスの案内では、3種類の給付は次のとおりです(令和6年10月以降に受講を開始した場合)。

種類 給付率と上限 支給の時期
専門実践教育訓練 教育訓練経費の50%(年間上限40万円)。資格取得等をして修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されると70%(年間上限56万円)。さらに賃金が受講開始前より5%以上上昇すると80%(年間上限64万円) 受講中6か月ごと。追加分は資格取得・就職のあと
特定一般教育訓練 40%(上限20万円)。資格取得等と就職で50%(上限25万円) 修了後
一般教育訓練 20%(上限10万円) 修了後

専門実践教育訓練は、給付を最大3年間受けられ、その場合の上限は192万円です。養成講習の期間は、このサイトでは確かめていません。講座の期間によって、年間上限が何年分かかるかが変わります。

支給額が4千円を超えないときは、支給されません。また、令和6年10月1日より前に受講を開始している場合は、賃金上昇による80%の追加支給はありません(ハローワークインターネットサービス)。

受講料別の試算

仕組みが分かりやすいように、次の前提で計算します。実際の養成講習の受講料や期間を示すものではなく、特定の講座の宣伝でもありません。

教育訓練経費 50%(基本) 70%(資格取得・就職) 80%(賃金上昇) 80%まで受けたときの自己負担
40万円 20万円 28万円 32万円 8万円
60万円 30万円 42万円 48万円 12万円
80万円 40万円 56万円 64万円 16万円

70%と80%の表の数字は、基本の50%を含んだ合計額です。たとえば60万円の場合、基本の30万円に、資格取得・就職の追加12万円、賃金上昇の追加6万円を足して48万円になります。

経費が80万円を超えると、年間上限(40万円・56万円・64万円)に当たるため、超えた分は給付が増えません。経費が100万円なら、50%の50万円は上限40万円に、70%の70万円は上限56万円に、80%の80万円は上限64万円に、それぞれ切り下がります。

70%や80%の追加分は、あとで条件を満たしたときに受け取れる額です。資格を取れなかった場合や、就職・賃金の条件に当てはまらない場合は、基本の50%までになります。受講料の支払いには、追加分を見込まず、基本の50%だけを戻る額として組むほうが安全です。

受け取れる人の条件

専門実践教育訓練給付金の支給対象者は、ハローワークインターネットサービスの案内で、次のいずれかに当てはまる人です。

区分 条件
雇用保険の被保険者(在職中) 受講開始日に、雇用保険に加入していた期間が3年以上
被保険者であった人(離職者) 資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日まで1年以内で、かつ雇用保険に加入していた期間が3年以上

どちらも、過去に教育訓練給付金を受けたことがなく、初めて受給しようとする人は、加入期間が2年以上あれば受給できます(当分の間の取り扱い)。受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金の支給を受けたことがある場合は、支給されません。

受講開始日は、通学制では指定された開講日、通信制では教材などの発送日で、施設が証明する日です。パンフレットは、受給資格の可否を決める重要な日付として、申し込みは余裕をもって行うよう書いています。

失業中に昼間通学制などで受講する場合は、別に「教育訓練支援給付金」(基本手当の日額の60%相当)の制度がありますが、受講開始時に45歳未満などの要件があり、令和8年度末までの暫定措置です。この記事では、通常の給付だけを扱います。

ハローワークでの手続きの順番

パンフレットの手続きの流れを、順に並べると次のとおりです。

順番 手続き 期限・窓口
1 支給要件照会(任意)。受講開始予定日の時点で受給資格があるか、講座が指定されているかをハローワークで確かめる 「教育訓練給付金支給要件照会票」を提出。電話での照会は受け付けていない
2 訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードの交付を受ける ハローワークの訓練対応キャリアコンサルタント。所在は最寄りのハローワークで案内
3 受給資格確認 受講開始日の2週間前まで。住所を管轄するハローワークに、本人か代理人の来所、電子申請、郵送(消印有効)
4 受講開始 通学制は講座の開講日、通信制は教材などの発送日
5 支給申請(基本の50%) 受講開始日から6か月ごとの期間の末日の翌日から1か月以内。修了した期間は修了日の翌日から1か月以内
6 資格取得・就職後の支給申請(70%に増える分) 資格取得または就職した日のいずれか遅い日から1か月以内
7 賃金上昇後の支給申請(80%に増える分) 資格取得・就職日の翌日から6か月を経過した日から6か月以内。本人か代理人の来所、郵送

順番2と3は、受講を始める前に済ませる手続きです。受給資格確認には、受給資格確認票、訓練前キャリアコンサルティングで発行されたジョブ・カード(発行から1年以内のもの)、本人確認書類、マイナンバーの確認書類、写真2枚(以降の支給申請でマイナンバーカードを示さない場合)、払渡先の口座が分かるものなどが要ります(パンフレット8ページ)。ジョブ・カードに書くのは、就業の目標と、職業能力の開発・向上に関する事項です。順番5以降は、受講証明書、修了証明書、領収書、教育訓練経費等確認書などを添えて申請します。領収書は、申請まで保管してください。

支給を受けるときの流れは、受講者が先に施設へ経費を支払い、あとからハローワークが給付する形です。パンフレットでは、支給の対象は「受講者が教育訓練実施者に対して支払った」入学料と受講料の合計とされています。

追加の給付で、キャリアコンサルタントに特有の注意点

70%の追加分は、パンフレットの注に次の条件が書かれています。

キャリアコンサルタントは、試験に合格したあと登録して初めて名乗れる資格です。登録の費用は、登録手数料8,000円と登録免許税9,000円で、登録証が出るまでの期間は約2か月とされています(資格の取り方の記事)。手続きの表のとおり、70%に増える分の申請は資格取得・就職の日の翌日から1か月以内で、申請には合格証だけでなく登録証も要ります(パンフレット9ページ)。名簿登録の日がいつになるかで、申請の日程が決まります。

試験の合格率は回ごとに変わります。学科と実技を同じ回に受けた人の合格率は、第30回58.0%、第31回59.8%、第32回45.8%でした(合格率の推移の記事)。この数字は修了者だけの合格率ではありませんが、最初の試験で資格を取れない場合は、追加の給付に当たらなくなる可能性があります。受講料の支払い計画は、70%や80%を前提にせず、基本の50%を見込んで立てるのが無難です。「予定されていた最初の試験」がどの回に当たるかは、講座ごとに違うため、施設で確かめてください。

給付の対象にならない費用

パンフレットは、教育訓練経費に含まれないものを次のように挙げています。

割引制度が使われた場合は割引後の額が経費になり、施設や販売代理店などから一定額の還付が予定されている場合は、現金に限らずパソコンの無償提供なども含めて、その額を差し引いて申告します。ほかにも、キャリアコンサルタント試験の受験料(学科8,900円、実技29,900円)と登録の費用は、パンフレットが挙げる「検定試験の受講料」などと同じ扱いになるかを、このサイトでは確かめていません。給付の対象に含まれるとは書かれていないため、別に見込んでおくと見積もりのずれを防げます。

不正に受給した場合は、受給した額の返還と、返還額の2倍の納付を命じられることがあります(パンフレット1ページ)。

次にすること

  1. 気になる養成講習が、専門実践教育訓練の指定を受けているかを、検索システムと施設で確かめる。指定期間と、受講開始日が指定期間内かも見る
  2. ハローワークで支給要件照会をして、雇用保険の加入期間と受講開始日の条件を確かめる
  3. 訓練前キャリアコンサルティングの予約を取り、ジョブ・カードを受け取る。受給資格確認は受講開始日の2週間前までに済ませる
  4. 受講料の支払い計画は、基本の50%を前提に立てる。試験の受験料と登録の費用は、別に用意する
  5. 資格を取ったあとの働き方を知りたいときは、50代未経験から取って意味があるかの記事で、公的な調査の数字を確かめられる

この記事の給付率と上限は、令和6年10月以降に受講を開始する場合のもので、2026年11月7日に確かめました。制度は改正されることがあるため、2027年4月ごろに見直します。受講を決める前には、ハローワークの窓口で最新の内容を確かめてください。

出典(確かめた日)