キャリアコンサルタントは50代未経験から取って意味がある?資格を取った後の仕事の実態

この記事のまとめ

  • 活動しているキャリアコンサルタントの年齢は50代が41.4%で最も多く、50代の受験者は珍しくない(JILPT 2022年調査、厚生労働省 第32回試験)
  • 第32回試験(2026年7月)の合格率は学科54.8%、実技61.7%。50代は学科51.2%、実技58.3%で、回によって大きく変わる
  • 調査に答えた人の約3割(29.7%)は直近1年間に活動しておらず、キャリアコンサルティングだけで生計を立てている活動者は20.4%にとどまる
  • 活動の場は企業が41.7%で最多。企業で活動する人のうち、キャリアコンサルティングで生計を立てている人は20.0%にとどまる
  • キャリアコンサルティングで生計を立てるまでの通算活動年数は、報告書では5〜10年が目安とされている

50代で未経験からキャリアコンサルタントを取ることに意味があるかどうかは、取った後に何をしたいかで分かれます。50代は少数派ではありません。公的な調査では、活動しているキャリアコンサルタントの年齢は50代が最も多く、試験の受験者にも50代は多くいます。一方で、調査に答えた人の約3割は活動しておらず、キャリアコンサルティングだけで生計を立てている人は活動者の約2割です。この記事では、JILPT(労働政策研究・研修機構)の調査と厚生労働省の試験結果の数字から、50代で取る人の実態と、向く人・向かない人の条件を整理します。

キャリアコンサルタントの基本:登録制で、更新が5年ごと

厚生労働省のページによると、キャリアコンサルタントは登録制の名称独占資格です。資格を取ったあと登録し、5年ごとに更新します。登録者数は、キャリアコンサルタント登録センターのページに87,221名(2026年10月末現在)と載っています。

項目 内容 出典・時点
位置づけ 登録制の名称独占資格。守秘義務がある 厚生労働省(2026-11-07 確認)
受験の条件 大臣認定の養成講習の修了、キャリアコンサルティングの実務経験3年以上、技能検定「キャリアコンサルティング」職種の学科または実技試験の合格、のいずれか(同等以上の能力があると認められる場合を含む) 厚生労働省(2026-11-07 確認)
更新 5年ごと。大臣指定の更新講習を受ける。知識講習は8時間以上、技能講習は30時間以上(一部免除の措置あり) 厚生労働省(2026-11-07 確認)
登録者数 87,221名 登録センター(2026年10月末現在)

厚生労働省の「名称独占について」のページでは、キャリアコンサルタントでない人は「キャリアコンサルタント」やまぎらわしい名称を使えず、違反すると30万円以下の罰金になると書かれています。このページで決められているのは名乗り方です。

50代は少数派ではない:年齢構成の数字

JILPTは、キャリアコンサルティング協議会に登録している人のうちメールニュースに登録している58,748名に、2022年7〜8月にウェブ調査を行いました(労働政策研究報告書No.227)。回収は7,586通、回収率は12.9%です。対象はメールニュースの登録者で、答えたのはその1割強のため、全登録者と同じ傾向とは限りません。この点を前提に読んでください。

報告書は、経験豊富な人が実務で重宝されるため50代以上が活躍の中心になっていて、経験の浅い20〜40代は実務に就きにくいのではないか、と考察しています。これは調査者の解釈で、年齢を理由に採用が決まるかどうかを調べた結果ではありません。

また、資格を取った目的を2017年と2022年で比べると、「職業人生の将来に備えるため」「定年後の経験を活かして社会貢献するため」が増えています。ただし報告書は、これらが増えたというより「専門能力を高めるため」「この分野に興味があったため」が減ったと見るほうが妥当な可能性も高い、とも書いています。

試験の結果:50代の合格率は回によって大きく動く

厚生労働省は、試験の結果を回ごとに公表しています。直近3回の合格率は次のとおりです。学科と実技(論述・面接)は別に判定され、どちらかだけに合格することもできます。

回(実施時期) 学科 受験者→合格者(合格率) 実技 受験者→合格者(合格率) 受験者の平均年齢
第30回(2025年11月) 5,013人→3,891人(77.6%) 5,182人→3,321人(64.1%) 45.6歳
第31回(2026年3月) 4,983人→4,017人(80.6%) 5,568人→3,599人(64.6%) 45.2歳
第32回(2026年7月) 3,804人→2,086人(54.8%) 4,434人→2,736人(61.7%) 45.8歳

第32回の学科は、前の回から合格率が25ポイント以上下がっています。回によって難しさが変わるため、1回分の数字だけでは傾向をつかめません。

年齢別では、第31回・第32回の50代は次のとおりです(厚生労働省の年齢別の受験者数・合格者数から計算)。

区分 第31回 学科 第31回 実技 第32回 学科 第32回 実技
40代 81.9% 67.4% 57.5% 67.2%
50代 76.4% 62.8% 51.2% 58.3%
60代 73.5% 58.1% 39.8% 49.9%
全体 80.6% 64.6% 54.8% 61.7%

どちらの回も、50代の合格率は全体よりやや低く、60代はさらに低くなっています。ただし、50代の受験者は第32回の学科で1,189人、実技で1,349人と、年齢区分の中で最も多くなっています。受験者の平均年齢は45歳前後で、50代は平均より上の層に当たります。

取った後の仕事の実態:活動の場・働き方・収入

ここからが、取った後の話です。数字は、すべてJILPTの2022年調査によります。

活動の場は企業が最多

主な活動の場は、2006年から2022年にかけて、需給調整機関(派遣、ハローワーク)から企業へ大きく移りました。

主な活動の場 2006年 2017年 2022年
企業領域 24.2% 40.2% 41.7%
需給調整機関領域 47.9% 23.8% 20.5%
学校領域 15.8% 20.2% 20.6%
地域・福祉領域 6.8% 6.1% 10.7%
その他 5.3% 9.7% 6.5%

調査時点の就業状況は、正規雇用が51.9%、非正規雇用が26.9%、キャリアコンサルタントとしてのフリーランス・個人事業主が7.2%でした。

生計を立てられている人は2割

活動者(n=5,333)に、キャリアコンサルティングに関連する活動で生計を立てているかを尋ねた結果は次のとおりです。

生計の状態 割合
キャリアコンサルティング以外で主に生計を立てている 36.1%
キャリアコンサルティング以外だけで生計を立てている 23.4%
キャリアコンサルティングだけで生計を立てている 20.4%
キャリアコンサルティングで主に生計を立てている 20.0%

「だけで」と「主に」を合わせた約4割の人の年収は、最頻値で200万円以上400万円未満でした。報告書は、これを厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和3年)の平均年収456万8000円より下だと書き、生計を立てられていても経済的な余裕があるとは言いにくいとしています。また、キャリアコンサルティングで生計を立てるには、通算の活動年数で早くても5年以上が目安で、5〜10年かかるという結果でした。

企業で活動する人は活動者の約4割(2,080名)を占めますが、そのうちキャリアコンサルティングで生計を立てている人は20.0%(418名)で、多くは本務の傍らで関わっています。一方、ハローワークなどの需給調整機関、学校、地域で日常的に相談業務をしている人は、生計を立てやすい傾向が示されています。

働き方ごとの違い

全回答者でみると、年収の中央値は400万円以上500万円未満でした。ただし、年収のうちキャリアコンサルティングに関連する活動による収入の割合は、0%が41.2%、91〜100%が21.0%と二極化していて、中央値は5.0%です。この年収は、本業の収入を含んだ数字だと見てください。

活動していない人も約3割いる

調査対象の29.7%は、直近1年間に活動していませんでした。理由(複数回答)は「キャリアコンサルティングとは関係のない組織・部署に所属している」が53.4%、「周囲にキャリアコンサルティングの仕事(ニーズ)がない」が34.7%です。活動していない人の約7割は、活動を始めたい(再開したい)意向を示しています。

2017年と2022年を比べると、活動への満足感と、資格が役立っている感覚はともに減っています。

向く人・向かない人を整理する

調査の数字から言えるのは、取得後の姿が働き方によって大きく違うということです。以下は、数字から読み取れる条件の整理で、個人の得失を断定するものではありません。

想定する使い方 調査から分かること 見落としやすい点
今の仕事を続けながら、社内の相談や人事の業務に活かす 企業領域が最多。正規雇用の本務がある人が多く、収入面の困難は小さいと報告書は見ている 企業で活動する人の8割は、相談だけでは生計を立てていない。社内に相談の機会がない場合もある
ハローワークや学校、地域の相談機関で働く 日常的に相談業務があり、生計が成立しやすい 非正規雇用が中心で、年収は100万円以上500万円未満が多い。契約は1年前後で更新される
フリーランスで独立する 年収が高い人もいるが、年収100万円以上300万円未満が多い 仕事の多くは紹介。月7日・10件程度の働き方が中央値
定年後の社会貢献・学び直しとして取る 取得目的として増えている 収入を主な目的にする場合は、上の表のとおり慎重に見る必要がある

「向く人」の条件として、調査から読み取れるのは次の点です。

反対に、資格を取ればすぐ収入になると考えている場合は、生計を立てるまでの通算活動年数(5〜10年)という調査の数字と合いません。対応が難しい相談として挙がったのは、発達障害(20.5%)、メンタルヘルス(17.7%)、職場の人間関係(13.3%)です。報告書は、これらを臨床心理学などの専門性が要るテーマとし、対応できないことは専門家・専門機関へつなぐ(リファーする)ことが必要だとしています。

取る前に自分で確かめること

次にすること

  1. 取る目的を「企業内」「公的な相談機関」「独立」「社会貢献・学び直し」のどれかに決める
  2. 決めた場所の求人を3〜5件開き、雇用形態・年収・必要な経験を書き出す
  3. 受験資格のどちらで受けるかを決め、講習の費用と時間を公式ページで確かめる
  4. 試験の最新の日程と結果は、試験機関の試験案内と厚生労働省の公表資料で確かめる

この記事の数字は、JILPTの調査(2022年実施)と厚生労働省の第30〜32回試験結果によります。調査は回収率が12.9%で、全登録者を表しているとは限りません。試験の結果は回ごとに更新されるため、2027年3月ごろに見直します。

出典(確かめた日)