キャリアコンサルタントの実技試験(論述・面接)|出題の形式・評価区分・合格基準を公式の試験案内で確かめた

この記事のまとめ

  • 実技は論述(50分、50点満点)と面接(20分、100点満点)で、合格基準は150点満点で90点以上。論述は配点の40%以上、面接は評価区分ごとに満点の40%以上も必要
  • 面接の評価区分は、キャリアコンサルティング協議会が「態度」「展開」「自己評価」、日本キャリア開発協会が「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」と、実施団体で違う
  • 論述の問題は、直近の第31〜33回で両団体の形式が違う。協議会は設問4つ(10・10・20・10点)、日本キャリア開発協会は問い3つ(15・20・15点)で、5つの指定語句を使う問いがある
  • 面接はロールプレイ15分と口頭試問5分で、ロールプレイは面談の最初の15分という設定。評価区分ごとの配点と、論述の評価区分は、確かめた公式ページに載っていない
  • 論述の過去問は両団体が直近3回分を公開していて、協議会は模範解答を公開していないと明記している

キャリアコンサルタント試験の実技は、50分の論述試験と20分の面接試験の2つで、合格基準は「150点満点で90点以上」です。ただし点数を足すだけでは決まらず、論述は配点の40%以上、面接は評価区分ごとに満点の40%以上という条件も付きます。ここで見落としやすいのが、面接の評価区分が、試験を実施する2つの団体で違う名前になっていることです。この記事では、キャリアコンサルティング協議会と日本キャリア開発協会の公式の試験案内、公開されている論述の過去問題、厚生労働省の試験結果で、実技の形式・配点・合格基準を確かめた内容を、団体ごとに分けて整理します。

実技試験の全体像:論述と面接の両方が基準に届く必要がある

実技試験は、論述試験と面接試験で構成されます。日本キャリア開発協会の論述の問題用紙には、実技試験の合格は論述試験と面接試験の両方とも合格基準に達することが必要と書かれています。学科試験とは別に判定され、学科と実技は個別に受けられます(日本キャリア開発協会の試験要項)。

項目 論述試験 面接試験
出題形式 記述式。事例を読み、設問に答える ロールプレイと口頭試問
試験時間 50分 20分(ロールプレイ15分、口頭試問5分)
配点 50点満点 100点満点
実施の日 学科試験と同じ日 別の日(複数日に分かれる)

出典:キャリアコンサルティング協議会の試験概要、日本キャリア開発協会の試験要項、厚生労働省の第32回結果の概要(いずれも2026年11月7日に確認)。論述50点・面接100点という配点は、厚生労働省の結果の概要の平均点の欄に「論述(50点満点)」「面接(100点満点)」と書かれています。

受験料は実技が29,900円で、2団体とも同じです。受験資格や登録の流れは、キャリアコンサルタント資格の取り方にまとめています。

合格基準は3つの条件が重なる

2団体の案内に書かれている合格基準は、次のとおりです。

条件 内容
実技全体 150点満点で90点以上の得点
論述試験 配点(50点)の40%以上の得点、つまり20点以上
面接試験 評価区分ごとに、満点の40%以上の得点

実技全体の90点は、満点の60%にあたります。論述の20点以上、面接の区分ごとの40%以上は、全体が90点以上でも、どれか1つ下回れば基準に達しません。この「区分ごとの40%」が何点なのかは、面接の区分ごとの配点が確かめた公式ページに載っていないため、点数では書けません。

第32回(2026年7月)の平均点は、厚生労働省の結果の概要で、実技が91.0点(150点満点)、論述が32.4点(50点満点)、面接が59.8点(100点満点)です。ただし、論述だけ、面接だけを受けた人も平均に含まれるため、論述と面接の平均の合計は実技の平均と一致しないと、概要に注記があります。回ごとの合格率は合格率の推移の記事にまとめていて、第30〜32回の実技は61.7〜64.6%でした。

論述試験:団体によって問題の形式が違う

論述は、事例を読んで設問に記述式で答える試験です。2団体とも直近3回分(第31〜33回)の問題をホームページで公開していて、両団体の3回分のPDFを開いて、形式を比べました。

項目 キャリアコンサルティング協議会 日本キャリア開発協会
公式の案内での呼び方 事例記録を読み、設問に解答する 逐語記録を読み、設問に解答する
第31〜33回の設問数 設問1〜4の4つ 問い1〜3の3つ
配点の内訳 10点・10点・20点(10点×2)・10点=50点 15点・20点(10点×2)・15点=50点
指定語句 第31〜33回の問題には見当たらない 第31〜33回の問い1に、5つの指定語句があり、すべて使い、アンダーラインを引く

出典:両団体の第31〜33回の論述問題(2026年11月7日に確認)。協議会の第32回の問題では、相談者の面談の記録に「相談の概要」の欄があり、設問は次の内容でした。

日本キャリア開発協会の第32回の問題は、同じ相談者の面談を前半と、キャリアコンサルタントの対応が違う後半A・後半Bの形で示し、次の内容でした。

どちらの団体でも、解答用紙の裏面や行外に書いたものは採点されないと、問題用紙に書かれています。協議会の設問には「あなたが考える相談者の問題」、日本キャリア開発協会の問いには「相談者の言動に基づいて」と、答えの根拠を相談者の言葉に求める指示があります。これは問題文に書かれている指示の内容で、採点の基準そのものではありません。

注意したいのは、両団体の論述の問題が、同じ日に別の形で出されていることです。学科試験は厚生労働省のページで「両機関で同一日、同一問題」と案内されていますが、論述は団体ごとに別の問題が作られていると、公開されたPDFから分かります。形式が回によって変わらないかどうかは、公開されている3回分の範囲でしか確かめられません。

実技試験の問題は各団体が独自に作り、著作権もそれぞれの団体にあると案内されています。講座などで使うには使用許諾の申請が要り、出版物その他の媒体に載せての販売・頒布・配信・配布は禁止、フリマアプリなどでの売買は控えるよう求められています(協議会の過去問題ページ、日本キャリア開発協会の過去問題ページ)。この記事では、形式と配点だけを書いています。

面接試験:評価区分が実施団体で違う

面接は、受験者がキャリアコンサルタント役になって行うロールプレイと、自分のキャリアコンサルティングについて試験官の質問に答える口頭試問で構成されます。ロールプレイは15分、口頭試問は5分で、合計20分です。

2団体の案内を並べると、次のとおりです。

項目 キャリアコンサルティング協議会 日本キャリア開発協会
ロールプレイの設定 50分のキャリアコンサルティング場面を想定し、面談開始から最初の15分という設定 実際のキャリアコンサルティング場面を想定し、面談開始から最初の15分間という設定
評価区分 「態度」「展開」「自己評価」 「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」
合格基準(面接) 評価区分ごとに満点の40%以上 評価区分ごとに満点の40%以上

出典:両団体の試験概要・試験要項(2026年11月7日に確認)。

評価区分の名前が違う理由は、公式ページに書かれていません。区分の名前が団体で違っても、実技全体で150点満点・90点以上という基準は同じです。区分の中身(それぞれ何を評価するのか)と、区分ごとの配点は、確かめた2団体のページに載っていませんでした。

2団体とも、ロールプレイでの望ましい姿勢をほぼ同じ文言で案内しています。要点は次の3つです。

口頭試問については、「自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える」とだけ案内されていて、質問の内容や数は書かれていません。面接の問題(相談者役の設定)の公開は、確かめた範囲では見つかりませんでした。協議会の過去問題ページには、第1回〜第17回の過去問題から選んだ解説集(出版物)の案内がありますが、面接の問題を公開したものとは書かれていません。

配点・採点基準はどこまで公開されているか

公式ページで確かめられた範囲を整理します。

項目 公開の状況
実技全体・論述・面接の配点(150・50・100点) 公開(厚生労働省の結果の概要)
実技の合格基準(90点以上、論述40%、面接は区分ごとに40%) 公開(2団体の案内)
論述の過去問題(直近3回分) 公開(2団体)
論述の模範解答 協議会は「公開しておりません」と明記
論述の評価区分・採点基準 確かめた公式ページに記載なし
面接の区分ごとの配点 確かめた公式ページに記載なし
配点・試験内容の問い合わせ 2団体とも「お答えできません」と案内

このため、「どう書けば何点になる」という採点の仕組みは、公式の資料からは分かりません。公式の資料で確かめられるのは、時間、形式、全体の配点、論述の設問ごとの配点、合格基準までです。民間の講座や書籍には独自の採点の解説が載っていることがありますが、試験団体が公表した基準ではないため、この記事では扱いません。

試験の細目を確かめる場所

試験科目は、厚生労働省のページで、関係法令・理論・実務・社会的意義・倫理と行動の5科目と案内されています。日本キャリア開発協会の試験要項には、2020(令和2)年度からの出題範囲は「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」で示されていると書かれています。この細目の本文は、今回の確認では開いていないため、実技の出題範囲が細目のどこにあたるかは書いていません。

次にすること

  1. 受験する団体(協議会か日本キャリア開発協会か)の試験概要で、面接の評価区分の名前を確かめる
  2. 受験する団体の論述の過去問題(直近3回分)を開き、設問の数、配点、指定語句の有無を見る。団体によって形式が違う
  3. 論述の模範解答は公開されていないため、答案をどう見直すかは、養成講習の実施機関に、講習の中で答案を見てもらえるかを確かめる。講習の受講料に使える給付制度は教育訓練給付金の記事で整理している
  4. 受験を決める前に、合格率の動きを合格率の推移の記事で、取得後の活動の実態を50代未経験の記事で確かめる

この記事の内容は、2026年11月7日に確かめた2団体の公式ページと、第31〜33回の論述問題によります。公式ページの案内は更新されることがあるため、2027年3月ごろに見直します。

出典(確かめた日)